昼ころになるとデスク周りにやってくる人がいてその人とパスタを作って食べるのが大体の日々のルーティン。今日の胃袋は何の気分かという事は一切問われることはない。何のパスタを食べるか相談から始まる。
それは優雅な時間であり、また一方ではパスタ縛りで始まるある意味儀式のような義務的な厳かな雰囲気すらも漂う昼休みの始まりです。
ストックが切れていなければパスタはDICHECO一択。麺の馴染み具合は毎日履くスニーカーレベル。たまにバリラなど他の種類も試すもののしっくりくるのはやはりディチェコ。馴染んでしまったものはしょうがない。ある意味盲信的なまでにディチェコ一択なのである。
ちなみにビストロやレストランほどメニューは多く無い。大体よく作るもので8つから10個位。その選択肢の中から材料と気分を考慮して本日のパスタが決定される。
流れ作業でフライパンにスライスしたニンニクを入れてオリーブオイルで熱し始める。隣のコンロではいつものステンレス鍋に二人分の量の水と塩を入れて火をつける。その後はメニュー次第でフライパンでソースを作り茹で上がったパスタを入れて混ぜ手早くパスタ皿に盛り付ける。大体分担は決まっている。切ったり混ぜたりするのは手が空いてる方で。
実はお世辞抜きに世界一美味しい。と毎回感動してはしみじみ幸せを噛み締める。毎度同じ手順なので当たり前とも言えるが。最高に自分好みのものを食べるには自分で調理が手っ取り早い。もうすでにパスタ縛りなので0から考える手間もない。脳の容量はそこに使わない。
メニューの選択肢が少ないかも知れないが徐々にレパートリーを増やしていけばいいのだ。
人生が続くなら旅するように探究できる。その全てが大好きな味で最高に出来上がるとわかっているのだから人生を手っ取り早く幸せにする一つの方法なのだ。少なくとも自分にとっては。
仕事の進行状況や音楽や楽器の話。友人の話や哲学的なことそして愛犬の話などをボソボソ話しながらのんびりパスタをフォークに巻きつける。とてもささやかかも知れないがこの上なく幸せな時間が1日の真ん中にある。
というかここが1日のピークなのかも。そのほかはバタバタ過ごして落ち着きないからな。。
ある日のパスタはボンゴレビアンコ いつものあさりがスーパーに売っていなくて。 でもどうしても食べたいと買った冷凍アサリで作ったらこれまた美味しかった。味のポイントは塩漬けのケイパー。緑色の丸い玉が慈悲ふかいお味でしみる。花の蕾と知ってからはそのパワーに納得し大ファンになってしまった。オイルが染み込んでふっくらとしたケイパーには魔力が潜んでいる。




